1.序論

 去る4月24日夜、白頭山付近の中国領土スンサンジョンに住む中国人僑胞の家にある北朝鮮軍下士が現れた。ひもじさを訴え、ご飯1杯を貰い食いする彼は、涙を流しつつ、「統一すれば、全てを返す」と語ったという。平凡なことのようだが、何故だかぎょっと感じられる。

 周知の通り、北朝鮮は、現在、体制存立の不安、経済的難局深刻化、国際的孤立等、3重苦の総体的危機状況に直面している。その内、食糧難は、特に深刻で、飢えた住民の死体が至るところで発見されている。飢えに疲れた住民の情緒が彼らを抑圧していた絶対権力から漸次離脱しているのは、当然の道理である。

 急激に瓦解する民心をまとめるためには、「天国の門」信徒達がUFOを信奉したように、盲目的に信奉できる「精神的な支柱」がなければならない。北朝鮮の指導部がこの精神的な支柱に盗用するものは、正に「統一に対する妄想」である。

 北朝鮮住民は、韓国において作詞・作曲された「我々の願いは統一」を金日成賛歌に劣らずに愛唱する。統一さえすれば、彼らが現在遭っている飢餓と希望から直ぐに解放されると言う妄想に全ての北朝鮮住民が捕らわれている。

 飢えにより兄弟姉妹が死んでいく北朝鮮住民に統一の手順や方法は、大して重要ではないともいえる。四面楚歌に追い込まれた金正日が全面戦を挑発する可能性は、従ってそのどのときよりも高くなるほかない。

 窮地に追い込まれた猫の爪は、虎のものよりも鋭いといえる。一旦、戦争が勃発すれば、北朝鮮は、勝つために手段と方法を選ばないだろうし、その脅威もまた手強いものと見られる。

 北朝鮮が現在保有している兵器中、最も大きな脅威に台頭しているものは、化学兵器である。化学兵器は、若干の技術さえあれば、低廉な費用で簡単に製造、保有することができ、大量殺傷能力もまた持っており、「貧者の核兵器」と呼ばれている。

 最近には、人間に必要以上の苦痛を与える化学兵器の残虐性が問題視され、その使用に対する批判的な視覚が一般化されている。

 しかし、国家存亡の危機に処している北朝鮮の立場から国際的世論などは、はなから関心外にあるともいえる。実際に北朝鮮は、世界164ヶ国が参加、去る4月29日、発効したところである化学兵器禁止条約(CWC)への加入を公開的に拒否しており、有事の際、化学兵器使用の可能性を黙示的に認定している。

 最近帰順した黄長Y氏は、論文「朝鮮問題」において、「北朝鮮は、有事の際、核兵器、化学兵器、ロケット兵器等を動員して、南朝鮮を一時に焦土化できる」と明らかにしたことがある。北朝鮮は、去る60年代末から生化学兵器開発に着手し、化学兵器の場合、現在、約5千tを保有しており、年間5千tの追加生産能力を持っていると、最近明らかにした。化学兵器5千tは、朝鮮半島地域を焦土化しても余る量である。敵が我々が判断していたものより大きな脅威を持っていれば、それに対する対備策もまた、さらに検討されねばならない。

 本稿では、化学戦の歴史、北朝鮮の化学戦脅威等を概括的に見てみて、これに備えた我々の化生放作戦と空中防御戦力との連係性を検討してみる。

上へ 進む

最終更新日:2003/05/04

Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!